先日、よみたんの家の調査、打合せののあとで、
重要文化財の「中村家住宅」に立ち寄りました。
私は内地の人間なので、オキナワの本来の住まいをよく知らす、
このまま設計に入っても・・・ということで、勉強のために行ってきました。
「中村家住宅」は上層農家の家で、庶民家屋と比べると規模も大きいですが、
間取りや設えなど、基本的な部分は共通しているかと。
また、伊礼さんの「オキナワの家」にも取り上げられていて、
伊礼さんの解説を思い出しながら、勉強してきました。
事前にいろいろ写真とかで見てきてはいましたが、
やはり実物を見るのとは違いますね。
路地から入ったところにある「ヒンプン(塀風)」。
この高さが絶妙で、軒先は見えるが家の中は見えない。
また、路地から緩やかに地盤面が上がっていき、
徐々に建物へ擦り付けるあたりが、気持ちのいいアプローチですね。
ヒンプンを右に折れて正面にある「一番座」から中庭、ヒンプンを見る。
実はここが一番気持ちがいい場所ではないかと思いました。
ヒンプンの上から、人の頭だけが見えるので、誰かが入ってくる気配は分かるし、
一番座の東にある坪庭から吹いてくる緩やかな風が、とても気持ちがいい。
思わず寝転んで昼寝をしたくなりました。
また、雨端(アマハジ)の出がちょうどいい寸法で、
建物に守られていながら、外部と曖昧につながっている感じも心地よい。
「設え」とは、こういうことを言うのだなと思いました。
ヒンプンの石をじっと見ていると、こんな風に「鍵型」に組まれているところが見られました。
このように石同士を組み合わせることにより、強く安定させているのです。
しかし、このような石の加工技術が当時からあったことに驚きです。
建物は、位置する風土に左右されることは当然というものの、
瀬戸内育ちの私にすると、オキナワは全くの異文化地域。
オキナワの建物について、解説されている本はたくさんありますが、
頭で考えるより、やはり体で感じた方が分りやすい。
そう言う意味では、中村家住宅は分りやすかった。
これからもたびたび訪れたい所になりました。